灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 541字・約1分
恋人になれたのに、その関係を周囲に知られるのが怖い。新井の悩みには、自分の望みがかなっても、すぐには自分を肯定できない難しさがある。水渡が自分を選んだという事実より、クラスメイトにどう見られるかが気になってしまう。私がこの作品で気になるのは、二人の間にある気持ちと、新井が想像する周囲の評価とのずれだ。
自分をしっかり持つ水渡と、自信のない新井。対照的な二人だが、明るい彼女が彼を引っ張るという説明だけでは、新井の葛藤は捉えきれないと思う。好きな相手がまぶしいほど、隣にいる自分が釣り合っていないように感じる。その不安から関係を隠したくなるなら、水渡自身の気持ちを置き去りにすることにもなる。
だから、互いの思いを言葉や態度で表すところに目を向けたい。新井に必要なのは、周囲から似合いの二人だと認められることなのか。それとも、水渡の選択を信じることなのか。自信を持てと言われるだけでは動けなくても、相手が何を大切にしているかを知ることで、考え方が変わる余地はある。
商業誌版の後日談として、恋人になった後の戸惑いを扱う点にも惹かれる。両思いは物語の終点になりやすいけれど、そこから始まる悩みもある。新井が自分への評価にとらわれながら、水渡とどう向き合うのか。その関係を軸に考えたい作品だ。
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