灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 548字・約1分
同僚から聞いた客の噂が、ある日の接客で具体的な顔を持つ。『レンタル美人妻 一泊二日 佐伯真帆』で私が気になるのは、田中の関心が切り替わる瞬間だ。話だけでは興味を示さなかったのに、目の前の佐伯を見て、近づきたいと思いはじめる。その変化には、彼が外見から抱いていた先入観が表れている。
清楚に見える人が何を借りるのか。その意外さは田中にとって大きくても、佐伯本人には普段の買い物かもしれない。彼が知ったのは彼女の一面であって、気持ちのすべてではない。私は、貸出画面に出た名前と選んだ作品から、田中がどこまで相手を分かったつもりになるのかに目を向けたい。
レンタルショップという場所も、この出会いに合っている。客は自分の好みを商品として差し出し、店員はそれを手に取って処理する。短い接客のなかで、普通なら知らない相手の私生活が少し見える。そこから個人的な関係へ近づこうとする田中が、佐伯とどんな会話をするのかが気になる。
題名の「一泊二日」は、冒頭では貸出期間を答える何気ない言葉だ。それが人物を指す題名にも使われることで、田中が佐伯をどう見ているのかまで考えたくなる。柔らかな絵柄で描かれる彼女の表情と、接客から始まった二人の距離の変化。その両方を追いながら、佐伯自身が何を望んで関わるのかを確かめたい一冊だ。
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