灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 558字・約1分
幼い頃から好きだった隣のお姉さんが、結婚して同じ隣家で暮らしている。『人妻幼馴染とひと夏のできごと』で私が気になるのは、大樹にとって距離の近さがつらさにもなっていることだ。瑠衣の幸せな姿を見ていられず、会う機会を減らしていた。近所付き合いの気安さだけでは続けられないほど、昔の気持ちが残っている。
再び二人を近づけるのは、一緒にゲームで遊ぶという何でもない時間だ。以前のように過ごせるきっかけがあるからこそ、離れていた間の変化も意識されるのだと思う。大樹には長く抱えてきた好意があり、瑠衣には夫との暮らしがある。同じ再会でも、二人がそこへ持ち込むものは違う。
夫が出張から戻るまで、という期限にも目が向く。終わりを先に決めることで、踏み込むことへのためらいを小さくできたのかもしれない。けれど、隣同士という環境は、決めた区切りとは関係なく続いていく。会いやすさが親しさを支えていた頃と、秘密を抱えた後とでは、その近さの意味も変わる。
私は、大樹の思いが長年かなわなかった恋だからといって、その後の選択まで一続きに肯定したくはない。好意が伝わることと、瑠衣が今の暮らしにどう向き合うかは別の問題だ。ひと夏だけのつもりで始まった関係が、普段の生活へどう入り込むのか。二人の表情とともに、最初に決めた期限の行方が気になる作品だ。
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