灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 539字・約1分
娘のお迎えに行った先に、学生時代の後輩・ののかがいる。『地元のハメ友 後輩の保育士N』で私が気になるのは、昔の知り合いとの関係が、今の家庭生活にも組み込まれていることだ。主人公にとって彼女は気の利く後輩であり、娘を預ける園の先生でもある。親しみと信頼がある場所に、家族には隠した関係が重なっている。
前に扱ったさやか先輩の話と同じく、主人公は妻や娘を大切に思っていると語る。家庭への不満を理由にせず、ののかとの時間も楽しみにしている。その語り口にためらいがないからこそ、私は、彼のなかで二つの関係がどう両立しているのかを考えたくなる。
ののか自身にも家庭があり、二人の間には子どもの父親をめぐる秘密がある。本人たちの親密さだけを見れば穏やかでも、その事情を知らない家族とは、同じ出来事の意味が違う。夫の登場が少ないことで、二人のやり取りが中心になる一方、描かれていない人の生活も気になる。
送迎を終え、夜勤へ向かう前に会うという時間の取り方も、このシリーズらしい。特別な旅行ではなく、仕事と育児の隙間に秘密の時間がある。私は、日常から遠く離れずに関係が続いているところに目を向けたい。慣れ親しんだ相手との気安さが、そのまま秘密を抱えることへの気安さにもつながっているように感じる一作だ。
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