灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 552字・約1分
水城先輩に嫌われたら、この会社ではやっていけない。憧れの相手を、主人公はそんなふうにも見ている。『会社のマドンナとラッキーでヤれた話』で私が気になるのは、彼の好意に、職場での居心地を失う怖さが混じっていることだ。優しくて明るい人気者だからこそ、近づきたい気持ちより、関係を悪くしたくない気持ちが先に立っている。
そこへ盗撮事件が起き、主人公も巻き込まれる。紹介文だけでは彼がどう関わったのかまでは分からないが、それまで遠くから憧れていた相手との間に、避けにくい気まずさが生まれる。職場なら、その後も顔を合わせる。何もなかったようには戻れないところから、二人の会話が始まる。
飲みに誘うのは水城のほうだ。主人公は気遣いだと考える一方で、彼女にも鬱憤があったのかもしれないと思う。私は、この誘いを彼がすぐには理解できないところに惹かれる。会社で誰にでも明るく接する姿を見ていても、その人が何に疲れ、誰と話したいと思っているかまでは分からない。
題名は出来事を「ラッキー」と捉えているが、水城側にはどんな気持ちの動きがあったのだろう。主人公にとって意外な展開であるほど、彼女が何を望んでいたのかも知りたくなる。私は、会社の人気者という見え方から、一人の先輩としての表情が見えてくる過程を、この作品の軸として追いたい。
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