灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 549字・約1分
クールな先輩の、意外に純情なところを知る。私が荻野さんに惹かれるのは、そんな見た目と内面の違いだ。彼女について流れている噂も、本人を知ればそのまま信じられるものではない。題名から受ける印象だけで、この人の性格まで決めてしまうのは惜しいと思う。
噂のきっかけが、断られた男の嫌がらせだというところは胸が痛む。荻野さん自身の思いとは関係なく、周りに勝手な人物像が出来上がってしまうからだ。だから私は、主人公が彼女に近づくことで何を知るのかに注目したい。噂の答え合わせよりも、目の前の先輩が自分にどんな気持ちを向けているのか。そのほうが、二人にとって大切なことだろう。
面白いのは、距離が縮まったからといって、主人公が安心できるわけではないところだ。好きな先輩が自分を受け入れてくれた。それはうれしいけれど、彼女にとって自分はどういう存在なのかが分からない。私も、相手が好きな人ならなおさら、その意味を考えてしまうと思う。近づいたあとに始まる迷いに、恋愛らしいもどかしさを感じる。
落ち着いて見える荻野さんと、彼女の気持ちを知りたくて悩む主人公。私は、この二人には噂を離れたところで向き合ってほしい。年上の先輩への憧れだけで終わらず、その人の素直な一面を知っていく恋の話が好きな方に、触れてみてほしい一冊です。
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