灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 542字・約1分
遠い存在だと思っていた相手と、同じ漫画の話ができる。それだけで、次に会う時間が少し楽しみになるのではないか。私がこの物語の入口で惹かれるのは、須藤凛花の目立つ立場よりも、二人の間に好きなものの共通点があることだ。うまく話そうと身構える主人公にも、漫画の話なら伝えたいことがあるだろう。
階段で転んだときに優しくしてもらい、そこから少しずつ話すようになる。主人公にとっては、その親切も会話も大きな出来事なのだと思う。女の子と話すのが苦手なら、声をかけてもらったこと自体が心に残る。私は、この距離の縮まり方に親しみを感じる。特別な話題を用意しなくても、同じものを面白いと思えることが、次の会話につながっていく。
一方で、主人公は自分では釣り合わないと考えてしまう。せっかく本人と言葉を交わせるようになったのに、周りからどう見えるかが気になって、また遠く感じてしまう。そのためらいも分かる。ただ、凛花が誰と話したいかまで、主人公の自己評価で決まるわけではない。
私なら、彼女を「一軍ギャル」という呼び方だけで捉えず、二人で話すときにどんな人なのかを見ていきたい。好きな漫画が同じでも、感じ方まで同じとは限らない。そうした違いも知っていくことが、憧れの相手を一人の人として見る始まりになる気がする。
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