灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 545字・約1分
上級退魔士として妖魔を倒しながら、人気インフルエンサーとしても活動する振袖ゆら。私がこの人物設定で気になるのは、彼女の知名度を退魔士協会が快く思っていないことだ。戦う力があっても、所属する組織から歓迎されるとは限らない。秘密裏に動く協会と、人前に姿を見せるゆら。その方針の違いが、討伐の場面に入る前から緊張を生んでいる。
今回の相手は、協会が長く苦戦してきた妖魔・夏死楼だ。ゆらは得意の素早い動きで接近するが、結界に取り込まれ、いつもの力を出せなくなる。能力の高い人物でも、戦う条件を相手に決められると、その強みを発揮できない。私は、ゆらの実力と、相性の悪い敵に追い詰められる展開を分けて捉えたい。
体術だけでなく回復術にも秀でている点は、この戦いで特に気になる。攻撃を受けた後に立て直す手段があるからこそ、霊力を弱める妖毒への対処が重要になる。解毒を試みる彼女が、自分の状態をどう判断しているのか。抵抗を続ける様子には、強気な性格に加えて、退魔士としての経験も表れそうだ。
初登場の一冊として、ゆら自身と、彼女を取り巻く事情を知る入口になる作品だ。カグヤと共通する世界のなかで、別の立場にいる退魔士を描く。私は、目の前の妖魔との戦いとともに、協会との隔たりが今後どう関わるのかにも目を向けたい。
この日記は常夜灯の運営者の見立てです。販売元の紹介文やレビューの転載ではありません。









