灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 550字・約1分
行方が分からなくなってから一か月。サヤは、かつての部下たちの前に拘束された姿で現れる。ところが昭善は、彼女を「サヤに似た別人」だと説明する。『退魔士サヤ ファイナル』で私が引っかかるのは、この説明がその場にいる人々の行動を変えてしまうことだ。目の前の相手を誰だと認識するかが、扱いを左右している。
本人ではないと思い込んだ部下たちは、サヤに対する欲望や罵倒を、その女性へ向ける。けれど、別人なら許されることでもない。私は、昭善の偽装がサヤの正体を隠すと同時に、部下たちが自分の行為をためらわずに済む口実になっているところに、この場面の残酷さを感じる。
サヤにとっては、かつて自分の下にいた人々から、存在を認められないまま傷つけられる状況だ。正体を知られたくない気持ちと、自分だと分かってほしい気持ちがどう動くのかは、簡単には想像できない。私は、威厳を保とうとする言葉に、彼女が自分自身を守ろうとする意識を見たい。
長く拘束され、抵抗を奪われた状態での反応を、本人の自由な選択と同じには捉えられない。「ファイナル」という題名だからこそ、この一か月がサヤに何を残し、物語が彼女をどこへ置いて終わるのかが気になる。今後の別作品への登場を期待する声とは分けて、まずはこの一冊でサヤ自身がどう描かれるのかを確かめたい。
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