灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 549字・約1分
「半休サイコー」と浮き立つ主人公には、妻と娘への不満が見当たらない。『地元のハメ友。「先輩の人妻S」』で私が引っかかるのは、家庭を気に入りながら、さやかとの関係も当然のように続けていることだ。暮らしがうまくいかないから別の相手を求める、という説明を挟まずに話が進む。その軽さが、主人公の人物像をはっきり見せている。
さやかは昔の部活の先輩であり、彼を可愛がってくれたキャプテンの妻でもある。二人だけの秘密に見えて、その周囲には以前からの人間関係がある。地元で就職し、家庭を持った後も続くつながりが、ここでは関係を断ち切りにくくする背景にもなっているように思う。
主人公の好みに合わせた服を、さやかが自分で用意しているところも気になる。すでに親密な二人なので、距離を縮める過程より、相手の望みを知っていることが行動に表れる。昔の先輩後輩という呼び方を残したまま、今は互いに家庭を持っている。その重なりを、二人がどう受け止めているのかに目を向けたい。
この一冊では夫が登場しないため、主人公の明るい語りが続く。それでも、語られない相手がいることは変わらない。私は、本人にとって楽しい半日が、周囲の人々の生活とどうつながっているのかを考えたくなる。罪悪感の薄い語り口そのものに、この関係の危うさが表れる作品だ。
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