灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 552字・約1分
「話しかけないで」と言う星川さんに、主人公は働きかけ続ける。『怒らないで星川さん』で私が気になるのは、彼女の言葉と、主人公による受け止め方の隔たりだ。紹介文は星川さんの口や態度の悪さを強調するが、それは主人公から見た彼女の姿でもある。本人の拒絶を、単に感じが悪いという評価に置き換えてよいのかが引っかかる。
星川さんは自分から話さず、主人公が帰るまで教室に残っている。その行動が何を意味するのかは、これだけでは決められない。私は、そばにいることや要求に従うことを、そのまま好意の証拠として読むのは避けたい。特に、強要される場面では、抵抗しないことと望んでいることを分けて考える必要がある。
つり上がった眉や拒絶の言葉が続くなかで、表情をどう描き分けているのかにも目が向く。同じように怒って見える顔でも、場面によって戸惑いやためらいがあるのかもしれない。ただ、その内面を読み取る際にも、主人公に都合のよい解釈だけを重ねたくはない。
「僕に逆らわない」という主人公の確信は、星川さんの気持ちを理解したということなのか。私は、二人の関係を見るうえで、そこを確かめたい。言葉と行動の違いを描く作品だからこそ、彼女が何を選べて、何を言えずにいるのかが気になる。星川さん自身の意思が、どこに表れるのかを軸に捉えたい一作だ。
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