灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 540字・約1分
家族と買い物に来ていた男性が、呼び出しに応じてその場を離れる。私がこの設定で気になるのは、家族と過ごす日常のすぐそばに、家族には隠した関係があることだ。遠くへ出かけて別人のように振る舞うのではなく、同じショッピングモールの敷地内で二つの生活が接している。その距離の近さが、秘密の危うさにつながっている。
相手は男性の本名を知らない。それでも、もっと連絡が欲しいと望んでいる。名前すら明かさない男性と、今より近づきたい相手。二人がこの関係に求めているものは、同じではなさそうだ。男性にとって都合よく区切れる時間でも、相手がその区切りを受け入れるとは限らない。
相手が未成年であることを踏まえると、この秘密を対等な大人同士の駆け引きとしては捉えられない。家庭を持つ成人男性が、自分の身元を隠したまま関係を続ける。その選択と責任に、私は目を向けたい。連絡を求める言葉も、男性にとっての面倒事だけで片づけることはできないと思う。
家族の場面があることで、男性が何を隠し、誰の信頼を損なっているのかが具体的になる。私は、秘密が発覚するかどうかとともに、彼が相手との関係をどう認識しているのかが気になる。何事もなかったように家族のもとへ戻れると思っているなら、その認識自体に、この設定の怖さがある。
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