灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 553字・約1分
友人には、キャバクラの手伝いをしていると話す須藤遠亜。収入が増えた理由を説明しながら、実際の仕事内容は伏せている。『オカネダイスキ』で私が気になるのは、遠亜が周囲に見せる顔と、自分で選んでいる行動の違いだ。本人には抵抗がなくても、友人にそのまま話せるわけではない。その説明の仕方に、他人からどう見られるかを意識する部分が残っている。
始めた理由は、手っ取り早くお金を稼げるからだった。ところが、関係を重ねるうちに、本人がそこに求めるものが変わっていく。最初は報酬が行動の理由になっていたのに、やがて報酬だけでは説明できなくなる。題名ではお金への気持ちを前面に出しながら、その先で目的が移っていく構成に目が向く。
遠亜が自分から関わっていく人物として描かれていることも、その変化を考えるうえで外せない。誰かに押し切られて始めたという説明ではなく、自分の判断で踏み込んでいる。だからこそ、当初の見通しから気持ちが変わったとき、それを本人がどう捉えるのかが気になる。
連休の泊まりがけの集まりは、普段の仕事とは時間の区切りも違う。長く一緒に過ごすなかで、客として接していた相手との距離も変わるのだろう。私は、金銭を介して始まった関係が続くうちに、遠亜自身の望みと、相手に見せる振る舞いがどう変化するのかを軸に捉えたい。
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