灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 537字・約1分
四人で過ごした時間があっても、その関係がいつまでも続くとは限らない。『カラミざかり3』は、夏の出来事によってほどけていく関係と、新しい結びつきを求める四人を描く完結編だ。私が目を向けたいのは、誰かを好きになることが、それまで近くにいた人との距離まで変えてしまうところにある。
新山が思いを寄せる相手は、飯田のほうを見ているのではないか。そう捉えると、二人の間に生まれるぎこちなさも違って見える。好きな人に振り向いてほしい気持ちと、身近な相手への複雑な思い。私は、こういう感情を嫉妬の一言で片づけたくない。比べたくなくても自分と相手を比べてしまう、その苦しさまで考えたくなる。
前の二作では高成の側から四人の距離を考えたが、新山に目を向けると、別のすれ違いが見えてくる。一人の寂しさだけを追っていては、ほかの人が何を求めているのかを見落としてしまう。誰かの思いが強くなれば、全員が近づけるわけでもないところが、この関係の難しさだと思う。
ほどけたあとに新しいつながりを探すことは、私には前向きな出発とも、寂しさの行き先を探すこととも映る。四人が同じ時間を過ごしたことと、その時間を同じ意味で覚えていることは別なのだろう。完結という区切りを迎えても、それぞれに何が残るのかを考えたい。
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