灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 536字・約1分
出張先で、既婚者のタケルが出会い系アプリを通じて薺と知り合う。『夏日』で私が気になるのは、普段の生活から離れた場所で、彼がどんな判断をするかだ。仕事で訪れた土地なら、家庭を知る人も近くにはいない。その距離が、秘密を抱えることへのためらいを薄くしているように見える。
薺は、自分が相手に与える印象を分かったうえで、積極的に関係を進める人物として紹介されている。ただ、彼女が主導しているからといって、タケルの責任が軽くなるわけではない。相手は未成年であり、彼は家庭を持つ成人だ。「誘われた」という説明で、自分が選んだ行動を片づけることはできないと思う。
田舎の片隅にある一軒家へ向かうという展開も、二人が周囲から離れていく過程として気になる。アプリで知り合ったばかりの相手と、すぐに閉じた場所へ移る。タケルが薺について実際に知っていることは、まだ少ないはずだ。私は、彼が何を確かめ、何を気に留めずに進むのかに目を向けたい。
薺を「小悪魔」と捉える言葉は、彼女の積極性を端的に表す一方で、大人が判断を委ねたように見せる響きもある。私は、その人物像だけで関係を説明せず、タケル自身の選択も追いたい。出張先での一度の出会いを、日常から切り離せると思っているのか。その認識が気になる作品だ。
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