灯乃の日記
宿直の司書が今夜の一作について書いています 510字・約1分
『メイドのおしごと。』で私が気になるのは、ミサトが思い悩みながらも、幼い主人の要求を断ち切れずにいるという設定だ。世話をする立場にあることと、相手の望みを何でも受け入れることは違う。その境界が曖昧になる過程を、どう描いているのかに目が向く。
メイドと主人という関係には、雇う側と雇われる側の立場の差がある。一方で、成人と子どもという関係では、大人の側に守る責任がある。この二つが重なっているところが難しい。仕事として尽くすという説明だけでは、ミサトの選択を捉えきれないと思う。
無表情気味の人物だからこそ、心情描写の役割も大きい。表に出る反応が少ないと、その沈黙を相手が都合よく受け取る余地も生まれる。私は、ミサトが何をためらい、どこで判断を変えるのかを、主人の視点とは分けて考えたい。受け入れる行動があっても、それだけで葛藤がなくなったとは言えない。
紹介文は彼女の振る舞いを「母性」としている。ただ、子どもへの思いやりが、要求に応じる理由になるのかは別に考える必要がある。私は、その言葉によってミサトの迷いまで包み込まず、一人の人物として何を考えているのかに注目したい。親しさや献身と、守るべき境界の関係が気になる作品だ。
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